ものづくりに没頭しているときに訪れる短命で邪念のないクリエイティブな時間
新しいサービスのアイデアが思いついたとき
ユーザーの心境について考えてみるとき、
利己的な感情ではなく、
ユーザーにとって確実に役に立つと思って考え事をしているとき、
ものすごく短命な「クリエイティブな時間」が訪れる。
自分でも集中していることに気づかないくらい集中し、アイデアがスコールのように降ってくる。
紙にアイデアを書きながらまとめていくが、手が止まることはない。
気づいたらある程度の方向性も固まっている。
そしてそのクリエイティブな時間は終わりを迎える。
次の日からはそのアイデアを実現させるために退屈な作業を進める。
やがて形になるとその努力が報われた、気がしてくる。
自分が何がしたいかと問われたら、きっと「ものづくり」なんだろう。
自分で良いと思ったものをまずは小さくつくりだし、世に放つ。
ミスチルの櫻井さんがバケモノの子の細田監督との対談で曲作りのときは
「できるだけ作るところから遠いところに自分の意識を置く、余計なことを考えずに何も考えないでやってる」と言っていた。
無意識の時にこそアイデアが降ってくる、ことは自分もある。
電車に乗っている時、ぼーっとしているとき、いきなりくる。
それに対して「何かをつくらなきゃいけない 」というプレッシャーや強制的な心理が働きながらアイデアを膨らませざるを得ないときもある。
経営者は会社を存続させるために新しいサービスをつくり、売上を出さなければいけない。
そうしないと社員に給料を払えない。
ミュージシャンは売れるためには曲を書かなきゃいけない。書きたくなくても書かなきゃいけない。
また最近だとベンチャー企業の若手が新規事業を考えて、抜擢され目立とうというパターンも見られるが、
あれは「新規事業を無理やり生み出している」と個人的には感じる。
新規事業は無理やりつくるものじゃないと思う。
ある課題にたいして誰よりも問題意識を抱え、自分が世に出すサービスの価値を誰よりもわかっていて、もちろんユーザーも具体的にイメージでき、いつどこでどのタイミングで何のためにサービスを使うかも見えている。
こうした考え方でサービスをつくらなくてもうまくいくことはあるかもしれないけど、
自分は自分がこれなら絶対に成功する、確実に役に立つ、ということ以外はやらないでいたい。
櫻井さんクラスの存在になると「売れるためにものづくりをする」必要はもうないだろう。
「ヒットし続けるプレッシャーでなくいいものがつくれなくないかという不安がある」と言っていたが、一般の人の次元を超えている。
利己的な感情の時には良いアイデアは出ない。
「余裕」があればあるほど良いアイデアは浮かぶのかもしれない。
浮かぶとは限らないが。